会長挨拶

第29回日本光線力学学会学術講演会を、“PhotoDynamic Medicine, PDM 2019”として、第15回日本脳神経外科光線力学学会（会長：京都府立医科大学 脳神経外科学教室 橋本直哉 教授）と合同で開催できますことを大変うれしく存じます。両学会はこれまでも同時開催等を行なってまいりましたが、今回は橋本直哉先生と教室の方々のご理解と多大なご協力により、より一体的、効率的な準備が進められておりますことに厚く御礼申し上げます。

PhotoDynamic Medicine（光線力学医療）は光線力学に基づく診断（PDD）と治療（PDT）の両方を含む概念で、今回のテーマは、『日本発，光線力学医療の創出』と設定いたしました。もとより我が国における光線力学医療は輝かしい歴史を有しておりますが、国産の高性能第二世代光感受性薬剤の開発を背景に、医師主導治験を経て原発性悪性脳腫瘍、遺残再発食道がんに対するPDTが相次いで認可、保険収載されるなど、日本の医療に大きな福音をもたらしています。
一方海外に目を転じますと、米国国立がんセンターの小林久隆博士が開発されたPhotoimmunotherapy（PIT，光免疫療法）が注目され、日本を含む各国で臨床試験が実施されています。PITは光化学反応を用いる点でPDTと共通性があります。

以上をふまえ、本合同学術集会は、光線力学医療に関わる産官学の研究者、医療従事者、技術者等が一堂に会し、PITの専門家も招いて広く情報交換、意見交換を行い、光線力学医療のさらなる発展に貢献することを企図しております。
プログラムとして、まずPITに関しては、その主役である小林久隆先生に特別講演をお願いすることにいたしました。またホットなテーマ、「光と免疫」、「幹細胞とPDT」について掘り下げてディスカッションを行うため、Hot Topicsシンポジウムを企画いたしました。さらに、新規光感受性薬剤とドラッグデリバリーシステム（DDS）、微生物に対するPDT、PDTの安全・標準化・ガイドライン、PDT・PDDの新応用・新技術など、多くの重要テーマについてもシンポジウムを設けました。分野・職種横断的な活発な議論がなされるよう、多くの方々のご参加を期待しております。

2019年4月

第29回日本光線力学学会学術講演会
会長　　佐藤　俊一
（防衛医科大学校防衛医学研究センター）

第15回日本脳神経外科光線力学学会を開催させていただきますことを教室員一同、心より光栄に存じます。本会は第29回日本光線力学学会学術講演会（会長：防衛医科大学校　防衛医学研究センター　生体情報・治療システム研究部門　佐藤 俊一 教授）との合同開催で、令和元年9月9月19日（木）、20日（金）の2日間、東京市ヶ谷のホテルグランドヒル市ヶ谷で開催させていただきます。

本学会は脳神経外科領域における光線力学の研究、診断および治療への応用を促進し、さらに適正な臨床使用を推進して広く知識の交流を深め、その進歩と発展を通して公共の福祉に貢献することを目的としています。

今回は両学会の共同テーマとして、「日本発，光線力学医療の創出」を掲げました。近年、光学系の技術革新により、蛍光色素を用いたphotodynamic diagnosis (PDD)とphotodynamic therapy (PDT)は再び注目を集めています。脳神経外科領域ではほとんどの施設でPDDが導入され、主要施設からはPDTの臨床結果が公表されつつあります。国産の高性能第二世代光感受性薬剤も開発されており、今後の展開が大いに期待されるところです。このような状況を鑑み、脳神経外科的疾患における診断と治療についての、蛍光医学全般を対象にした情報交換の場が必要であります。全国から興味を有する脳神経外科医が集まって、光線力学の臨床応用全般に関して、知識・知見を共有できるような学術講演会にしたいと思っております。特別講演として、米国国立がんセンターの小林久隆博士に、大変注目されているPhotoimmunotherapy（PIT，光免疫療法）について解説いただきます。一般口演に加え、日本光線力学学会との合同シンポジウム、セミナーなどを予定しており、当日は活発に討議していただくことをお願い申し上げたいと思います。

東京も残暑が過ぎ、ようやく秋の気配が漂う時候になるかと存じます。是非多くの先生方にご参集いただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

2019年4月

第15回日本脳神経外科光線力学学会
会長　　橋本　直哉
（京都府立医科大学脳神経外科　教授）